この投稿は,高校数学Ⅰ『2次関数』の大学入試合格に向けたロードマップをまとめたものです。
基本問題から応用問題まで幅広く,単元の中で取り組むべき内容をまとめました。
2次関数の基本
平方完成
平方完成とは、$y=ax^2+bx+c$ を $y=a(x-p)^2+q$ という形に変形することです。
$y=a(x-p)^2+q$ の形に変形することで、軸と頂点を求めることができます。
(1) $y=x^2-2x-1$
(2) $y=x^2+x+1$
(3) $y=2x^2+4x+1$
(4) $y=-x^2+2x-3$
(5) $y=2x^2+3x+2$
(6) $y=-2x^2+2x+3$
(7) $y=\frac{1}{2}x^2+x-1$
(8) $y=x^2-2ax+a$
(9) $y=ax^2+2ax-2$
(10) $y=x^2-2(a-1)x+1$
\begin{eqnarray} (1) y &=& x^2-2x-1 \\ &=& (x-1)^2-1^2-1\\ &=& (x-1)^2-2 \\\\ &&頂点は (1,-2) \\\\ (2) y &=& x^2+x+1 \\ &=& \left(x+\frac{1}{2}\right)^2-\left(\frac{1}{2}\right)^2+1\\ &=& \left(x+\frac{1}{2}\right)^2+\frac{3}{4} \\\\ &&頂点は \left(-\frac{1}{2},\frac{3}{4}\right) \\\\ (3) y &=& 2x^2+4x+1 \\ &=& 2(x^2+2x)+1\\ &=& 2\{(x+1)^2-1^2\}-1\\ &=& 2(x+1)^2-2-1\\ &=& 2(x+1)^2-3 \\\\ &&頂点は \left(-1,-3\right) \\\\ (4) y &=& -x^2+2x-3 \\ &=& -(x^2-2x)-3\\ &=& -\{(x-1)^2-1^2\}-3\\ &=& -(x-1)^2+1-3\\ &=& -(x-1)^2-2 \\\\ &&頂点は (1,-2) \\\\ (5) y &=& 2x^2+3x+2 \\ &=& 2\left(x^2+\frac{3}{2}x\right)+2\\ &=& 2\left\{\left(x+\frac{3}{4}\right)^2-\left(\frac{3}{4}\right)^2\right\}+2\\ &=& 2\left(x+\frac{3}{4}\right)^2-\frac{9}{8}+2\\ &=& 2\left(x+\frac{3}{4}\right)^2+\frac{7}{8} \\\\ &&頂点は \left(-\frac{3}{4},\frac{7}{8}\right) \\\\ (6) y &=& -2x^2+2x+3 \\ &=& -2\left(x^2-x\right)+3\\ &=& -2\left\{\left(x-\frac{1}{2}\right)^2-\left(\frac{1}{2}\right)^2\right\}+3\\ &=& -2\left(x-\frac{1}{2}\right)^2+\frac{1}{2}+3\\ &=& -2\left(x-\frac{1}{2}\right)^2+\frac{7}{2} \\\\ &&頂点は \left(\frac{1}{2},\frac{7}{2}\right) \\\\ (7) y &=& \frac{1}{2}x^2+x-1 \\ &=& \frac{1}{2}\left(x^2+2x\right)-1\\ &=& \frac{1}{2}\left\{\left(x+1\right)^2-1^2\right\}-1\\ &=& \frac{1}{2}\left(x+1\right)^2-\frac{1}{2}-1\\ &=& \frac{1}{2}\left(x+1\right)^2-\frac{3}{2} \\\\ &&頂点は \left(-1,-\frac{3}{2}\right) \\\\ (8) y &=& x^2-2ax+a \\ &=& \left(x-a\right)^2-a^2+a\\ &=& \left(x-a\right)^2-a^2+a \\\\ &&頂点は \left(a,-a^2+a\right) \\\\ (9) y &=& ax^2+2ax-2 \\ &=& a(x^2+2x)-2\\ &=& a\{(x+1)^2-1^2\}-2\\ &=& a(x+1)^2-a-2\\\\ &&頂点は \left(-1,-a-2\right) \\\\ (10) y &=& x^2-2(a-1)x+1 \\ &=& \{x-(a-1)\}^2-(a-1)^2+1\\ &=& \{x-(a-1)\}^2-a^2+2a \\\\ &&頂点は (a-1,-a^2+2a) \\\\ \end{eqnarray}
平方完成を学ぶ↓
平行移動・対称移動
2.頂点の移動を考える
3.$x^2$ の係数($a$ の値)は変わらない
(1) ①のグラフを $x$ 軸方向に $2$,$y$ 軸方向に $-1$ だけ平行移動して得られるグラフ
(2) $x$ 軸方向に $2$,$y$ 軸方向に $-1$ だけ平行移動して①のグラフと重なるようなグラフ
を求めよ。
①について $y=2(x-1)^2+2$
よって,①のグラフの頂点は $(1,2)$
(1)
①のグラフの頂点 $(1,2)$ を
$x$ 軸方向に $2$,$y$ 軸方向に $-1$ だけ平行移動すると $(3,1)$
求めるグラフは,①のグラフを平行移動したものであるから
$x^2$ の係数は $2$ である
よって,求める方程式は $y=2(x-3)^2+1$
(2)
①のグラフの頂点 $(1,2)$ を
$x$ 軸方向に $-2$,$y$ 軸方向に $1$ だけ平行移動したものであるから
頂点は $(-1,3)$,$x^2$ の係数は $2$ である
よって,求める方程式は $y=2(x+1)^2+3$
(1) ①のグラフを $x$ 軸方向に $2$,$y$ 軸方向に $-1$ だけ平行移動して得られるグラフ
(2) $x$ 軸方向に $2$,$y$ 軸方向に $-1$ だけ平行移動して①のグラフと重なるようなグラフ
を求めよ。
(1) $y-(-1)=2(x-2)^2-4(x-2)+4$ ← $x$ を $x-2$,$y$ を $y-(-1)$
これを計算して $y=2x^2-8x+19$
(2) 求めるグラフは①のグラフを
$x$ 軸方向に $-2$,$y$ 軸方向に $1$ だけ平行移動したものであるから
$y-1=2(x+2)^2-4(x+2)+4$ ← $x$ を $x+2$,$y$ を $y-1$
これを計算して $y=2x^2+4x+5$
2.$x^2$ の係数($a$ の値)について
$y$ 軸に関する対称移動は符号が変わらない
$x$ 軸,原点に関する対称移動は符号が変わる
(1) $x$ 軸に関する対称移動したグラフ
(2) $y$ 軸に関して対称移動したグラフ
(3) 原点に関して対称移動したグラフ
を求めよ。
①について $y=2(x-1)^2+2$
よって,①のグラフの頂点は $(1,2)$
(1) ①のグラフの頂点を $x$ 軸に関して対称移動すると $(1,-2)$
グラフの形は下に凸から上に凸に変わるので $y=-2(x-1)^2-2$
(2) ①のグラフの頂点を $x$ 軸に関して対称移動すると $(-1,2)$
グラフの形は変わらないので $y=2(x+1)^2+2$
(3) ①のグラフの頂点を原点に関して対称移動すると $(-1,-2)$
グラフの形は下に凸から上に凸に変わるので $y=-2(x+1)^2-2$
$y$ 軸に関して対称移動したいときは $x$ を $-x$ にする
原点に関して対称移動したいときは $x$ を $-x$,$y$ を $-y$ にする
(1) $x$ 軸に関する対称移動したグラフ
(2) $y$ 軸に関して対称移動したグラフ
(3) 原点に関して対称移動したグラフ
を求めよ。
(1) $-y=2x^2-4x+4$ ← $y$ を $-y$ にする
これを計算すると $y=-2x^2+4x-4$
(2) $y=2(-x)^2-4\cdot(-x)+4$ ← $x$ を $-x$ にする
これを計算すると $y=2x^2+4x+4$
(2) $-y=2(-x)^2-4\cdot(-x)+4$ ← $x$ を $-x$,$y$ を $-y$ にする
これを計算すると $y=-2x^2-4x-4$
平行移動・対称移動を学ぶ↓
2次関数の最大・最小
定義域における最大・最小
関数 $y=f(x)$ において
定義域 … 変数 $x$ のとりうる値の範囲
値域 … $x$ が定義域内のすべての値をとるときの $y$ のとりうる値の範囲
グラフを図示するとき,定義域内は実線,定義域外は点線で表すことが多い
・最大値・最小値は,『頂点』か『定義域の端点』のいずれかでとる
・放物線は軸に関して対称
・軸と定義域の端点の距離を注意してグラフをかく
(1) $y=x^2-4x+1$ ($0≦x≦3$)
(2) $y=-x^2-2x+3$ ($0≦x≦2$)
(1) $y=(x-2)^2-3$ 軸は $x=2$,頂点は $(2,-3)$
$x=0$ で最大値 $1$,$x=2$ で最小値 $-3$
(2) $y=-(x+1)^2+4$ 軸は $x=-1$,頂点は $(-1,4)$
$x=0$ で最大値 $3$,$x=2$ で最小値
2次関数の最大・最小を学ぶ↓
最大・最小からの係数の決定
平方完成すると $y=(x-1)^2-1+c$ となり、軸は直線 $x=1$
$x=3$ で最大値をとる
このとき、$x=3$ を代入すると $y=(3-1)^2-1+c=3+c$
これが $7$ になるので $3+c=7$ より $c=4$
軸と定義域の位置関係から、『$x=□$ で最大値をとるか』を考えることがポイント!
軸に定数を含む
『軸』や『定義域』の位置によって最大・最小が変わるので、場合分けを考える
まずは、軸に定数を含む問題だね!
場合分けを考えてみよう!
$f(x)=(x-a)^2-a^2+2$
軸は 直線 $x=a$,頂点は $(a,-a^2+2)$
$a<0$ のとき $x=0$ で最小値 $2$
$0≦a≦2$ のとき $x=a$ で最小値 $-a^2+2$
$2<a$ のとき $x=2$ で最小値 $-4a+6$
$f(x)=(x-a)^2-a^2+2$
軸は 直線 $x=a$,頂点は $(a,-a^2+2)$
$a<1$ のとき $x=2$ で最大値 $-4a+6$
$a=1$ のとき $x=0,2$ で最大値 $2$
$1<a$ のとき $x=0$ で最大値 $2$
●下に凸の場合
最小値は、軸が定義域の左・内・右で場合分け
最大値は、軸が定義域の中央より左・中央・中央より右で場合分け
●上に凸の場合
最小値は、軸が定義域の中央より左・中央・中央より右で場合分け
最大値は、軸が定義域の左・内・右で場合分け
下に凸の最小値と上に凸の最大値
下に凸の最大値と上に凸の最小値
の場合分けの考え方は同じだね!
定義域の片端に定数を含む
次は、定義域の右端に定数が含まれる問題だよ!
$f(x)=(x-2)^2+1$
軸は 直線 $x=2$,頂点 $(2,1)$
$0<a<2$ のとき $x=a$ で最小値 $a^2-4a+5$
$2≦a$ のとき $x=2$ で最小値 $1$
$f(x)=(x-2)^2+1$
軸は 直線 $x=2$,頂点 $(2,1)$
$0<a<4$ のとき $x=0$ で最大値 $5$
$a=4$ のとき $x=0,4$ で最大値 $5$
$4<a$ のとき $x=a$ で最大値 $a^2-4a+5$
定義域の両端に定数を含む
$f(x)=(x-2)^2+1$
軸は 直線 $x=2$,頂点 $(2,1)$
$a<0$ のとき $x=a+2$ で最小値 $a^2+1$
$0≦a≦2$ のとき $x=2$ で最小値 $1$
$2<a$ のとき $x=a$ で最小値 $a^2-4a+5$
$f(x)=(x-2)^2+1$
軸は 直線 $x=2$,頂点 $(2,1)$
$a<1$ のとき $x=a$ で最大値 $a^2-4a+5$
$a=1$ のとき $x=1,3$ で最大値 $2$
$1<a$ のとき $a=a+2$ で最大値 $a^2+1$
最小値は、軸が定義域の右・内・左で場合分け
最大値は、軸が定義域の中央より右・中央・中央より左で場合分け
●上に凸の場合
最小値は、軸が定義域の中央より左・中央・中央より右で場合分け
最大値は、軸が定義域の左・内・右で場合分け
2次関数の決定
② $y=a(x-p)^2+q$ 【基本形】 軸・頂点がわかる式
③ $y=a(x-\alpha)(x-\beta)$ 【因数分解形】 $x$ 軸との共有点がわかる式
与えられた条件から①~③の式を選んで式で表す!
基本形と一般形の応用
(1) 頂点が $(2,1)$ で点 $(4,5)$ を通る2次関数
(2) 軸が直線 $x=1$ で,2点 $(0,1)$,$(3,-2)$ を通る2次関数
(1) 頂点が $(2,1)$ より $y=a(x-2)^2+1$ ($a≠0$) とおくと
$(4,5)$ を通るので $5=a(4-2)^2+1$ ←「通る」は代入
これを解いて $a=1$
したがって,求める2次関数は $y=(x-2)^2+1$
(2) 軸が 直線 $x=1$ より $y=a(x-1)^2+q$ ($a≠0$) とおくと
$(0,1)$ を通るので $1=a(0-1)^2+q$
$a+q=1$ … ①
$(3,-2)$ を通るので $-2=a(3-1)^2+q$
$4a+q=-2$ … ②
①,②を解いて $a=-1$,$q=2$
求める2次関数は $y=-(x-1)^2+2$
$y=ax^2+bx+c$ ($a≠0$) とおくと
$(1,1)$ を通るので $a+b+c=1$ … ①
$(2,6)$ を通るので $4a+2b+c=6$ … ②
$(3,13)$ を通るので $9a+3b+c=13$ … ③
①,②,③を解いて $a=1$,$b=2$,$c=-2$
求める2次関数は $y=x^2+2x-2$
基本形・一般形の利用を学ぶ↓
因数分解形の利用
問題
$x$ 軸と $(-1,0)$,$(5,0)$ で交わるので
$y=a(x+1)(x-5)$ ($a≠0$) とおくと
$(0,5)$ を通るので $5=a(0+1)(0-5)$
これを解いて $a=-1$
求める2次関数は $y=-(x+1)(x-5)$
最大・最小からの決定
頂点に関する条件により、基本形 $y=a(x-p)^2+q$ を利用して解く
$x=2$ のとき最大値 $3$ をとるので,求める2次関数は
頂点が $(2,3)$ で上に凸の放物線である
よって $y=a(x-2)^2+3$ ($a<0$) とおくと
$(1,2)$ を通るので $2=a(1-2)^2+3$
これを解いて $a=-1$ ($a<0$ を満たす)
求める2次関数は $y=-(x-2)^2+3$
2次方程式
2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の解き方
①左辺を因数分解して解く
2次方程式 $a(x-\alpha)(x-\beta)=0$ を解くと $x=\alpha,\beta$
②解の公式を用いて解く
2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ を解くと $\displaystyle{x=\frac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a}}$
2次方程式の解の公式
2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の解は $\displaystyle{x=\frac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}}$
特に,$b$ が偶数のとき $\displaystyle{x=\frac{-(bの半分)\pm\sqrt{(bの半分)^2-ac}}{a}}$
$$ax^2+bx+c=0$$
$$a\left(x^2+\frac{b}{a}x\right)+c=0$$
$$a\left\{\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\left(\frac{b}{2a}\right)^2\right\}+c=0$$
$$a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2-\frac{b^2}{4a}+c=0$$
$$a\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2=\frac{b^2-4ac}{4a}$$
$$\left(x+\frac{b}{2a}\right)^2=\frac{b^2-4ac}{4a^2}$$
$$x+\frac{b}{2a}=±\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$$
$$x=-\frac{b}{2a}±\frac{\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$$
$$x=\frac{-b±\sqrt{b^2-4ac}}{2a}$$
(1) $3x^2+5x-1=0$
(2) $3x^2+4x-1=0$
(3) $x^2-2x-1=0$
2次方程式を学ぶ↓
文字係数の方程式
(1) $x^2+(a-2)x-2a=0$
(2) $a^2x-a=2ax$
(3) $ax^2-x-a=0$
(1) $x^2+(a-2)x-2a=0$
$(x-2)(x+a)=0$
$x=2,-a$
(2) $a^2x-a=2ax$ より $a(a-2)x=a$
(ア) $a=0$ のとき,この方程式は $0\cdot x=0$
よって,すべての $x$ で成り立つから,解はすべての実数
(イ) $a=2$ のとき,この方程式は $0\cdot x=2$
この式は成り立たないから,解はない
(ウ) $a≠0,2$ のとき $\displaystyle{x=\frac{1}{a-2}}$
(ア)~(ウ) より
(3) $ax^2-x-a=0$
(ア) $a=0$ のとき,この方程式は $-x=0$
これを解くと $x=0$
(イ) $a≠0$ のとき,解の公式より
$\displaystyle{x=\frac{-(-1)\pm\sqrt{(-1)^2-4\cdot a\cdot(-a)}}{2a}=\frac{1\pm\sqrt{4a^2+1}}{2a}}$
$4a^2+1>0$ より,これは解として適する
(ア)~(イ) より
文字係数の方程式の解説はこれ↓↓
2次方程式の実数解の個数と判別式
$D>0$ のとき 異なる2つの実数解
$D=0$ のとき 重解(実数解1つ)
$D<0$ のとき 実数解をもたない
ちなみに、判別式 $D=b^2-4ac$ は、
解の公式の $\sqrt{ }$ の中だよ!
(1) 異なる2つの実数解をもつ
(2) 実数解をもたない
(1) 2次方程式 $x^2-3x+k=0$ の判別式を $D$ とすると
$D=(-3)^2-4・1・k=9-4k$
$D>0$ より $9-4k>0$
$\displaystyle{k<\frac{9}{4}}$
(2) $D<0$ より $9-4k<0$
$\displaystyle{k>\frac{9}{4}}$
2次方程式 $x^2-6x+k=0$ の判別式を $D$ とすると
$D=(-6)^2-4・1・k=36-4k$
$D=0$ より $36-4k=0$
$k=9$
このとき $x^2-6x+9=0$
$(x-3)^2=0$
$x=3$
判別式 $D$ を学ぶ↓
2次関数のグラフとx軸
2次関数のグラフとx軸の位置関係
2次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフと $x$ 軸の共有点の $x$ 座標は、2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の実数解である( $y=0$ を代入)
これより、
2次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフと $x$ 軸の共有点の個数は、2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の実数解の個数と一致する
2次方程式の $ax^2+bx+c=0$ の実数解の個数は、判別式 $D=b^2-4ac$ で判別されるので、2次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフと $x$ 軸の共有点の個数も判別式 $D$ で判別できる。
2次方程式 $ax^2+bx+c=0$ の判別式を $D$ とすると、2次関数 $y=ax^2+bx+c$ と $x$ 軸の共有点の個数は
(1) $x$ 軸と異なる2点で交わる
(2) $x$ 軸と交わらない
(1) $y=0$ を代入した2次方程式 $x^2-3x+k=0$ の判別式を $D$ とすると
$D=(-3)^2-4・1・k=9-4k$
$D>0$ より $9-4k>0$
$\displaystyle{k<\frac{9}{4}}$
(2) $D<0$ より $9-4k<0$
$\displaystyle{k>\frac{9}{4}}$
$y=0$ を代入した2次方程式 $x^2-6x+k=0$ の判別式を $D$ とすると
$D=(-6)^2-4・1・k=36-4k$
$D=0$ より $36-4k=0$
$k=9$
このとき $x^2-6x+9=0$
$(x-3)^2=0$
$x=3$
2次関数 $y=ax^2+bx+c$ と $x$ 軸との共有点の個数を調べるのに、判別式 $D$ 以外の方法として、頂点の $y$ 座標を利用する方法もある。
$a>0$ (下に凸)の場合
異なる2点で交わる $ \iff $ (頂点の $y$ 座標)$<0$
平方完成すると $\displaystyle{y=\left(x-\frac{3}{2}\right)^2-\frac{9}{4}+k}$
頂点は $\displaystyle{\left(\frac{3}{2},-\frac{9}{4}+k\right)}$
異なる2点交わるとき,頂点の $y$ 座標は負なので $\displaystyle{-\frac{9}{4}+k<0}$
これを解いて $\displaystyle{k<\frac{9}{4}}$
2次関数と $x$ 軸の位置関係を学ぶ↓
2次関数のグラフと係数の符号
次の図は2次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフである。このとき,次の値は正,0,負のいずれになるか。
(1) $a$
(2) $b$
(3) $c$
(4) $b^2-4ac$
(5) $a+b+c$
(6) $a-b+c$
(1) $a$ の正負 ➡ 上に凸か下に凸か
グラフは上に凸なので $a$ は負
(2) $b$ の正負 ➡ 軸 $\displaystyle{x=-\frac{b}{2a}}$ の位置
軸 $\displaystyle{-\frac{b}{2a}}$ は負で $a$ は負なので $b$ は負
(3) $c$ の正負 ➡ $y$ 軸との交点の座標
グラフは $y$ 軸と正の部分で交わるので $c$ は正
(4) $b^2-4ac$ の正負 ➡ グラフと $x$ 軸の共有点の個数
$b^2-4ac$ は判別式 $D$ で、異なる2点で交わっているので $b^2-4ac$ は正
(5) $a+b+c$ の正負 ➡ $x=1$ のときの $y$ 座標
グラフは $x=1$ のとき $x$ 軸より下なので $a+b+c$ は負
(6) $a-b+c$ の正負 ➡ $x=-1$ のときの $y$ 座標
グラフは $x=-1$ のとき $x$ 軸より上なので $a+b+c$ は正
2次関数のグラフと係数の符号を学ぶ↓
2次関数がx軸と切り取る線分の長さ
2次関数 $y=ax^2+bx+c$ ($a>0$)のグラフが異なる2点 $\textrm{A}$、$\textrm{B}$ で交わるとき、$\textrm{A}$、$\textrm{B}$ の座標は $y=0$ を代入して、$ax^2+bx+c=0$ を解くと
$\displaystyle{x=\frac{-b\pm\sqrt{D}}{2a}}$ ただし、$D=b^2-4ac$
したがって、線分 $\textrm{AB}$ の長さは $\displaystyle{\frac{-b+\sqrt{D}}{2a}-\frac{-b-\sqrt{D}}{2a}=\frac{\sqrt{D}}{a}}$
$a<0$ のときも考慮すると、切り取る線分の長さは $\displaystyle{\frac{\sqrt{D}}{|a|}}$
2次関数 $y=ax^2+bx+c$ のグラフが異なる2点 $\textrm{A}$、$\textrm{B}$ で交わるとき、2次関数が $x$ 軸から切り取る線分の長さは $\displaystyle{\frac{\sqrt{D}}{|a|}}$ ただし、$D=b^2-4ac$
切り取る線分の長さは $\displaystyle{\frac{\sqrt{(-3)^2-4\cdot2\cdot(-3)}}{2}=\frac{\sqrt{33}}{2}}$
2次関数が $x$ 軸から切り取る線分の長さを学ぶ↓
2次不等式
2次不等式はこれをおさえておけば、どんな問題でも解ける!
2次関数のグラフを図示するところから始めよう!
2次不等式の解
(1) $x^2-x-2>0$
(2) $x^2-x-2<0$
(3) $x^2-x-1<0$
(4) $-x^2+2x+1≧0$
(1) $x^2-x-2>0$
2次関数 $y=x^2-x-2$ のグラフが $x$ 軸より上側( $y>0$ )にある $x$ の値の範囲が解となる
左辺を因数分解して $(x+1)(x-2)>0$
これを解いて $x<-1$,$2<x$
(2) $x^2-x-2<0$
2次関数 $y=x^2-x-2$ のグラフが $x$ 軸より下側( $y<0$ )にある $x$ の値の範囲が解となる
左辺を因数分解して $(x+1)(x-2)<0$
これを解いて $-1<x<2$
(3) $x^2-x-1<0$
$y=x^2-x-1$ と $x$ 軸の共有点を求める
$x^2-x-1=0$ を解くと $\displaystyle{x=\frac{1\pm\sqrt{5}}{2}}$
よって $\displaystyle{\frac{1-\sqrt{5}}{2}<x<\frac{1+\sqrt{5}}{2}}$
(4) $-x^2+2x+1≧0$
両辺に $-1$ をかけて $x^2-2x-1≦0$
$y=x^2-2x-1$ と $x$ 軸の共有点を求める
$x^2-2x-1=0$ を解くと $x=1\pm\sqrt{2}$
よって $1-\sqrt{2}≦x≦1+\sqrt{2}$
2次不等式を学ぶ↓
(1) $x^2-4x+4>0$
(2) $x^2-4x+4≧0$
(3) $x^2-4x+4<0$
(4) $x^2-4x+4≦0$
(1) $x^2-4x+4>0$
左辺を因数分解すると $(x-2)^2>0$
これを解くと $x=2$ 以外のすべての実数
(2) $x^2-4x+4≧0$
左辺を因数分解すると $(x-2)^2≧0$
これを解くと すべての実数
(3) $x^2-4x+4<0$
左辺を因数分解すると $(x-2)^2<0$
これを解くと 解はない
(4) $x^2-4x+4≦0$
左辺を因数分解すると $(x-2)^2≦0$
これを解くと $x=2$
2次不等式を学ぶ↓
(1) $x^2-2x+3>0$
(2) $x^2-2x+3≧0$
(3) $x^2-2x+3<0$
(4) $x^2-2x+3≦0$
2次関数 $y=x^2-2x+3$ について平方完成すると $y=(x-1)^2+2$
頂点は $(1,2)$ より,2次関数 $y=x^2-2x+3$ は $x$ 軸と交わらない
※判別式 $D=(-2)^2-4\cdot1\cdot3=-8<0$ でも $x$ 軸と交わらないことが説明できる
(1) $x^2-2x+3>0$
すべての実数
(3) $x^2-2x+3<0$
解はない
(2) $x^2-2x+3≧0$
すべての実数
(4) $x^2-2x+3≦0$
解はない
2次不等式を学ぶ↓
絶対不等式
$y=x^2+2kx-3k+4$ とおくと
グラフが $x$ 軸より上側にあるとき
解がすべての実数となる
$x^2+2kx-3k+4=0$ の判別式を $D$ とすると
グラフが $x$ 軸と交わらないので $D<0$
$\displaystyle{\frac{D}{4}=k^2-(-3k+4)=(k-1)(k+4)}$
$D<0$ より $-4<k<1$
$y=(k-2)x^2+2(k-1)x+3k-5$ とおくと
グラフが 下に凸 かつ $x$ 軸より上側にある とき
解がすべての実数となる
下に凸なので $k-2>0$ すなわち $k>2$ … ①
$(k-2)x^2+2(k-1)x+3k-5=0$ の判別式を $D$ とすると
グラフが $x$ 軸と交わらないので $D<0$
$\displaystyle{\frac{D}{4}=(k-1)^2-(k-2)(3k-5)=-2k^2+9k-9=-(2k-3)(k-3)}$
$D<0$ より $-(2k-3)(k-3)<0$ すなわち $(2k-3)(k-3)>0$
これを解いて $\displaystyle{\frac{3}{2}<k<3}$ … ②
①,②の共通範囲をとって $2<k<3$
文字係数の2次不等式
(1) $x^2-(2a+1)x+a^2+a>0$
(2) $x^2-(a+1)x+a<0$
(3) $ax^2-ax-2a>0$
(1) $x^2-(2a+1)x+a^2+a>0$
式変形して $x^2-(2a+1)x+a(a+1)>0$
左辺を因数分解すると $(x-a)\{x-(a+1)\}>0$
$a<a+1$ より $x<a$,$a+1<x$
(2) $x^2-(a+1)x+a<0$
左辺を因数分解すると $(x-a)(x-1)<0$ ←$a$ と $1$ の大小関係で場合分け
[1] $a<1$ のとき $a<x<1$
[2] $a=1$ のとき $(x-1)^2<0$ より 解はない
[3] $1<a$ のとき $1<x<a$
(3) $ax^2-ax-2a>0$
左辺を因数分解すると $a(x^2-x-2)>0$
$a(x+1)(x-2)>0$
[1] $a>0$ のとき $x<-1$,$2<x$
[2] $a=0$ のとき $0>0$ より 解はない
[3] $a<0$ のとき $-1<x<2$
2次方程式の解の存在範囲
異なる2つの正の解・負の解・異符号の解
2次方程式 $f(x)=0$ が異なる2つの正の解をもつ
$\iff$ 2次関数 $y=f(x)$ が $x$ 軸の正の部分と異なる2つの共有点をもつ
[1] $D>0$ ← $x$ 軸と異なる2つの共有点
[2] 軸 $>0$ ← 軸が $x>0$ の部分にある
[3] $f(0)>0$ ← $x=0$ における $y$ 座標が正
$f(x)=x^2-2ax-a+2$ とおくと
方程式 $f(x)=0$ が異なる2つの正の解をもつための条件は $y=f(x)$ のグラフが $x$ 軸の正の部分と異なる2つの共有点をもつことである
よって,次の [1]~[3] がすべて成り立つ
[1] $x$ 軸と異なる2つの共有点をもつ
$f(x)=0$ の判別式を $D$ とすると
$\displaystyle{\frac{D}{4}=a^2-(-a+2)=(a-1)(a+2)}$
$D>0$ より $a<-2$,$1<a$ … ①
[2] 軸が $x>0$ の部分にある
$y=f(x)$ の軸は直線 $x=a$ であるから $a>0$ … ②
[3] $x=0$ における $y$ 座標が正
$f(0)>0$ であるから $f(0)=-a+2>0$
よって $a<2$ … ③
①~③の共通範囲をとって $1<a<2$
2次方程式 $f(x)=0$ が異なる2つの負の解をもつ
$\iff$ 2次関数 $y=f(x)$ が $x$ 軸の負の部分と異なる2つの共有点をもつ
[1] $D>0$ ← $x$ 軸と異なる2つの共有点
[2] 軸 $<0$ ← 軸が $x<0$ の部分にある
[3] $f(0)>0$ ← $x=0$ における $y$ 座標が正
『異なる2つの正の解をもつ条件』と比べると、
軸の条件が違うだけだね!
2次方程式 $f(x)=0$ が符号が異なる2つの解をもつ
$\iff$ 2次関数 $y=f(x)$ が $x$ 軸の正の部分と負の部分で共有点をもつ
[3] $f(0)<0$ ← $x=0$ における $y$ 座標が負
※[1] 判別式 $D>0$ や [2] 軸の条件 は必要ない
異なる2つの○より大きい・小さい解
例えば、『異なる2つの $1$ より大きい解のときの条件』をみてみよう!
2次方程式 $f(x)=0$ が$1$ より大きい異なる2つの解をもつ
$\iff$ 2次関数 $y=f(x)$ が $x$ 軸の $1$ より大きい部分と異なる2つの共有点をもつ
[1] $D>0$ ← $x$ 軸と異なる2つの共有点
[2] 軸 $>1$ ← 軸が $x>1$ の部分にある
[3] $f(1)>0$ ← $x=1$ における $y$ 座標が正
『異なる2つの正の解をもつ条件』と似ているね!
[2] と [3] を少し変えるだけ!
例えば、$2$ より大きい異なる2つの解だったら、
[1] $D>0$ [2] 軸 $>2$ [3] $f(2)>0$
にしたらいいだけ!
2次方程式 $f(x)=0$ が$1$ より大きい解と $1$ より小さい解をもつ
$\iff$ 2次関数 $y=f(x)$ が $x$ 軸の $1$ より大きい部分と小さい部分で共有点をもつ
[3] $f(1)<0$ ← $x=1$ における $y$ 座標が負
※[1] 判別式 $D>0$ や [2] 軸の条件 は必要ない
例えば、$2$ より大きい解と $2$ より小さい解だったら、
[3] $f(2)<0$
にしたらいいだけ!
2次方程式 $f(x)=0$ の1つの解が $0$ と $1$ の間に、もう1つの解が $1$ と $2$ の間にある
$\iff$ 2次関数 $y=f(x)$ が $x$ 軸と $0$ と $1$ の間に1つ、$1$ と $2$ の間にもう1つ共有点をもつ
$f(0)>0$ ← $x=0$ における $y$ 座標が正
$f(1)<0$ ← $x=1$ における $y$ 座標が負
$f(2)>0$ ← $x=2$ における $y$ 座標が正
これで『2次関数』の基本はばっちりだね!
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