「人間の感覚は対数に比例する」
この意味が分かる?
ちょっとイメージがわかない…
「人間の感覚は対数に比例する」
の意味が分かれば,対数の意味が分かる!
ウェーバー・フェヒナーの法則
ウェーバー・フェヒナーの法則とは
人間の感覚の大きさは,受ける刺激の強さの対数に比例する
という基本法則
ウェーバーが生みだした「ウェーバーの法則」を
弟子のフェヒナーが発展させたので「ウェーバー・フェヒナーの法則」と呼ばれている
ウェーバーの法則
基礎刺激量の強度を $R$,識別閾値を $\Delta R$ とすると
$\displaystyle{\frac{\Delta R}{R}=一定}$
これだと分かりにくいので,具体例を使って考えてみよう!
② 1000g の重りを手に乗せた状態で 10g の重りを手に乗せる
①と②について,増えた 10g の重りの感じ方に変化はあるか
①よりも②の方が重さの変化の感じ方が少ない気がする!
その通りなんだ!
100g に対する 10g の増加
1000g に対する 10g の増加
では 10g の感じ方が違うよ!
100g に対する 10g の増加
と感じ方が同じになるのは
1000g に対する 何g の増加なの?
100g に対する 10g の増加
と感じ方が同じになるのは
1000g に対する 100g の増加
だよ!
$\displaystyle{\frac{増分 10g}{始めの重さ 100g}=\frac{増分 100g}{始めの重さ 1000g}}$
始めの重さと増分の比が等しくなるとき,感覚の変化量が等しくなる
これが「ウェーバーの法則」 $\displaystyle{\frac{\Delta R}{R}=一定}$
100円の買い物をするときは10円を大切にするけど,
1000円の買い物をするときは10円を大切にすることが少ない!
お金の感覚にも「ウェーバーの法則」が隠れているよ!
高い買い物をするときは要注意だね!
ウェーバー・フェヒナーの法則
刺激量を $R$,感覚量を $E$,定数を $k$ とするとき
$E=k\log R$
対数の底がないんだけど,どういうこと?
底が $e$ (ネイピア数)のときは底を省略するんだ!
数Ⅲで習う数なんだけど,無理数で $e=2.718\cdots$ という数!
急に難しい数が出てきたー!!
今回は $e$ については深く考えないように!
大切なのは『感覚は刺激の対数に比例する』こと!
簡単に説明するために,
「ウェーバー・フェヒナーの法則」を
$E=k\log_{2} R$
$R$ が刺激量,$E$ が感覚量,$k$ は定数
として考える
$感覚量=k\log_{2} 刺激量$
刺激量が $1$ のとき 感覚量は $k\log_{2} 1=0$
刺激量が $2$ のとき 感覚量は $k\log_{2} 2=\log_{2} 2^1=k$
刺激量が $4$ のとき 感覚量は $k\log_{2} 4 =\log_{2} 2^2 =2k$
刺激量が $8$ のとき 感覚量は $k\log_{2} 8 =\log_{2} 2^3 =3k$
刺激量が $16$ のとき 感覚量は $k\log_{2} 16 =\log_{2} 2^4 =4k$
表にすると以下のようになる
刺激量 | 1 | 2 | 4 | 8 | 16 | 32 | 64 | $\cdots$ |
$\log_{2}刺激量$ | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | $\cdots$ |
感覚量 | 0 | k | 2k | 3k | 4k | 5k | 6k | $\cdots$ |
この表をみると
『感覚量は $\log_{2} 刺激量$ に比例する』
すなわち
『感覚量は刺激量の対数に比例する』
『感覚量は刺激量の対数に比例する』を直感的に理解するために,
カレーの辛さの刺激量と辛いと感じる感覚量
を使って考えてみよう!
「ウェーバー・フェヒナーの法則」を
$E=\log_{2} R$
$R$ が刺激量,$E$ が感覚量
として考える
刺激量が $2$ 倍されると,感覚量が $2$ 倍されるわけではない
つまり
カレーを $2$ 倍辛み成分を追加しても,感覚的には $2$ 倍辛く感じるわけではない
『感覚量は刺激量の対数に比例する』ということは
刺激量を少し増やしたところで,感覚量における変化はほとんどない
ということ
これが『感覚量は刺激量の対数に比例する』ことの直感的な理解
人間の感覚って案外鈍感なんだね!
まとめ
● ウェーバーの法則
基礎刺激量の強度を $R$,識別閾値を $\Delta R$ とすると
$\displaystyle{\frac{\Delta R}{R}=一定}$
具体例として
$\displaystyle{\frac{増分 10g}{始めの重さ 100g}=\frac{増分 100g}{始めの重さ 1000g}}$
始めの重さと増分の比が等しくなるとき,感覚の変化量が等しくなる
● ウェーバー・フェヒナーの法則
刺激量を $R$,感覚量を $E$,定数を $k$ とするとき
$E=k\log R$
『感覚量は刺激量の対数に比例する』
刺激量を少し増やしたところで,感覚量における変化はほとんどない
人間の五感は「対数」で表されている!
「対数」を学ぶ重要性が理解できたかな?
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