命題の証明方法の一つとして「背理法による証明」があります!
無理数であることの証明に有効な「背理法による証明」の手順を解説しました!
この投稿を見れば,「背理法による証明」を確実に理解できます!
背理法の手順
② 仮定に応じて,条件を式で表す
③ 推論を進め,矛盾を導く
背理法が有効な証明
背理法ってどんな問題で利用することが多いの?
『無理数であること』の証明で有効だよ!
無理数は「分数で表せない数」であり,『無理数である』ことを一般的に式で表すことができないから,証明しにくい。
一方で,有理数は「分数で表せる数」なので,背理法を用いて『無理数でない』すなわち『有理数である』と仮定すれば,式で表すことができる。
以上の理由から,背理法は無理数であることの証明に有効である。
背理法による証明
(2) (1)を利用して,$\sqrt{2}+1$ が無理数であることを証明せよ。
(1) $\sqrt{2}$ が有理数であると仮定すると
$\displaystyle{\sqrt{2}=\frac{m}{n}}$ ($m$ と $n$ は互いに素な自然数)とおける
両辺を $2$ 乗して分母をはらうと
$2n^2=m^2$ … ①
$n^2$ は整数であるから,$m^2$ は $2$ の倍数である
よって,$m$ は $2$ の倍数である
$m=2k$($k$ は整数)とおくと,①より
$2n^2=(2k)^2$ すなわち $n^2=2k^2$
$k^2$ は整数であるから,$n^2$ は $2$ の倍数である
よって,$n$ は $2$ の倍数となる
ゆえに,$m$,$n$ はともに $2$ の倍数となり,互いに素であることに矛盾する
したがって,$\sqrt{2}$ は無理数である
$m$ と $n$ が互いに素な自然数とおくことで,$\displaystyle{\frac{m}{n}}$ は既約分数となる
(2) $\sqrt{2}+1$ が有理数であると仮定すると
$\sqrt{2}+1=r$($r$ は有理数)とおける
整理すると $\sqrt{2}=r-1$
右辺の $r-1$ は有理数であるから,左辺の $\sqrt{2}$ も有理数となる
これは,$\sqrt{2}$ が無理数であることに矛盾する
したがって,$\sqrt{2}+1$ は無理数である
まとめ
●背理法の手順
① 命題が成り立たないと仮定する
② 仮定に応じて,条件を式で表す
③ 推論を進め,矛盾を導く
●背理法が有効な証明
無理数であることの証明は,有理数と仮定して矛盾を導く
🔰基本…まずはこの記事から!
🔵標準…基本問題や公式の理解度が重要!
🔴応用…場合分けなど思考力が要求される!
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