「勉強しているけど数学の成績が伸びない…」
そのような悩みを抱えている高校生は多いと思います。
「中学校までは数学ができていたのに…」という高校1年生
「数ⅡBになってからついていけなくなった…」という高校2年生
「大学入試が近づいてきているのに数学の成績が伸びない」という高校3年生
このように高校数学で困っている人が無意識でやってしまっている『高校数学のNGな勉強法とその解決策』を7つにまとめました!
この中で当てはまっているものがあるかを確認して、
もし当てはまるものがあれば、今この瞬間から数学の勉強法を見直しましょう!
基本を大切にしない
「数学の力をつけるためには、難しい問題をたくさん解かなければならない」と考えている人が多いようです。
確かに、数学の勉強の最終段階として、難しい問題にチャレンジして力をつける必要があります。
しかし、基本的な内容が理解できていない状態で、どれだけ難しい問題にチャレンジしても、数学の力がつかないということになりかねません。
2 次不等式を例に挙げてみます。
$f(x)=x^2+2kx-3k-4$ とおく
すべての実数 $x$ について $f(x)>0$ が成り立つのは
$y=f(x)$ のグラフが $x$ 軸と共有点をもたないときである
よって,$f(x)=0$ の判別式を $D$ とすると $D<0$
したがって $-4<k<1$
基本的な内容が理解できていない人は、この手の問題を『判別式 $D<0$』で解けると覚えてしまっている恐れがあります。
解法を知っておくことは大切ですが、「なぜ『判別式 $D<0$』で解けるのか」という問いに答えることができなければ、問題を少し変えられただけで解けなくなる可能性があります。
この問題を解くために必要な基本的な能力は、
・2 次関数のグラフと $x$ 軸との共有点の個数を判別式 $D$ を用いて考えることができる
ことが挙げられます。
この基本的な内容が理解できていない間に応用問題を解いても、理解ができずに覚えてしまうだけになります。
解決策
2 次不等式を例にすると、
「$(x-1)(x-2)>0$ を解くと $x<1$,$2<x$ になる」
ことを覚えているようでは、基本的な問題を理解した上で解けるとは言いません。
「2 次不等式は 2 次関数のグラフを用いて解くことができるため、$(x-1)(x-2)>0$ を解くと $x<1$,$2<x$ になる」
と答えられて初めて、基本が理解した上で解けると言います。
解法を覚えるのではなく、なぜその解法で解けるのかに着目して勉強することが大切です。
問題を自力で解かずに解けた気になる
「テストになったら問題が解けない」という人に多いのが『問題を自力で解かずに解けた気になる』ことです。
・スタディサプリなど有名講師の動画授業を受けている
・Youtubeで解説動画を見ている
といった人は注意が必要です。
分かりやすい授業や動画は、自分自身が問題が解けるように錯覚させてしまいます。
分かりやすい授業を受けたり、分かりやすい動画を見たりすることで、問題が解けるようになった気がしていませんか?
分かりやすい授業や動画で学習を進めることは、非常に効率が良いことです。
しかし、一歩間違えると、問題が解けるようになった気がするだけで、テストで全く解けないということになりかねません。
また、解答を読み込んで解けた気になる人もいます。(これで解けるようになる人も一部います)
数学において、『分かる』と『解ける』は全く別物です。
分かった後に、解けるようになるための問題演習はできていますか?
解決策
②問題解説を聞いた後は、その問題または類題を自力で解いてみる
③自力で解けなかったら、解けるようになるまで問題演習を重ねる
①まずは自力で問題を解き、『解ける』のか『解けない』のかをはっきりさせる
大学受験が近い高校3年生はもちろん、高校1年生も2年生も、数学の問題を解く場面は多くあるでしょう。
教科書の練習問題や参考書の問題など、『まずは自力で解いてみる』ことがとても大切です。
『解ける』ならば、この問題はOK!
『解けない』ならば、なぜ解けないかを考えましょう。
『解けない』ことに気が付いて初めて、次に取るべき行動が考えられます。
・学校や塾の先生に質問する
・解説動画を見る
など、『解けない』を『解ける』にするために行動が起こせます。
そして、『解けない』問題はブックマークする(付箋を貼ったり、印をつけたりする)ことが大切です。
『自力で問題を解いてみる』ことが、数学の勉強の入り口です。
②問題解説を聞いた後は、その問題または類題を自力で解いてみる
学校や塾の先生の問題解説の後や、動画授業を見た後は、問題演習をするのにベストのタイミングです。
『分かる』と『解ける』は違います。
問題解説の後は、誰でも『分かった』という状態になっています。
せっかく『分かった』のに、問題を解けるかどうかを確認しないのは大変もったいないことです。
「鉄は熱いうちに打て」という言葉がありますが、『分かった』ときが問題演習の効果が高いタイミングです。
解説を聞いた問題が自力で解けるのか、類題が自力で解けるのかをすぐに確認するようにしましょう。
③自力で解けなかったら、解けるようになるまで問題演習を重ねる
自力で解けるようになるまで問題演習を重ねていますか?
『解けない』を『解ける』にするためには、何度か問題演習を繰り返す必要があります。
ここで注意したいのが、『解けない』理由が、『理解できていない』なら、いくら問題演習を繰り返しても意味がありません。
この場合は、分かる人に聞く必要があります。
『分かる』のに『解けない』なら、解けるようになるまで問題演習を繰り返しましょう。
『解ける』問題を増やすことは、数学でとても大切なことです。
どこで間違えたか探さない
数学の力を伸ばすためには、教科書や参考書の問題を解くことは必要不可欠です。
問題演習をする際に、自力で解くことの重要性は上で述べました。
自力で解いた後は答え合わせをすると思いますが、答え合わせのときに必ずしなければならないことが『どこで間違えたか探す』ことです。
自力で解いて間違えた部分を学び、次に間違えないようにするのが勉強の正しいスタイルです。
特に、計算ミスについては、見つける習慣をつけていなければ、テストでも見つけることができません。
自分がよくしてしまう計算ミスのパターンを学ぶ上でも、答え合わせの中で計算ミスを探すことはとても重要です。
解決策
この流れを意識して問題演習を繰り返すことが重要です。
計算ミスを探すことは根気がいることですが、計算ミスを探す習慣が大事なテストで計算ミスを発見することにつながります。
そもそも考え方や解法で間違えている場合は、「なぜ模範解答のような解き方をするのか」を確認することが大切です。
自分自身で解決できない場合は、学校や塾の先生や数学が得意な友達に聞くとよいでしょう。
計算スピードを意識せずに問題演習する
大学入学共通テストでは、問題を解くスピードが要求され、時間との戦いになります。
数学で高得点をとるためには、いかにして考える時間を増やすかがカギになります。
考える時間を増やすためには、計算にかかる時間を減らす、つまり、計算スピードを上げることが必要です。
計算スピードは、一朝一夕で上げることはできません。
日頃からのトレーニングが重要になります。
解決策
・普段の問題演習から速く計算することを意識する
計算力は反復練習で鍛えることができます。
なぜなら、計算は経験値がものをいうからです。
四則演算は小学校の貯金がものをいうかもしれませんが、方程式や不等式といった計算は慣れれば慣れるほどパターンが見えてきます。
慣れているかどうかは、その計算をしたときにどれくらい手が止まるかを見れば一目瞭然です。
・高次方程式
・三角関数の方程式や不等式
・指数関数と対数関数の方程式や不等式
など、どの方程式・不等式で手が止まることが多いのか分析してみましょう。
また、「私は計算スピードが遅いです」という人ほど、普段の問題演習でゆっくり解いていることが多いです。
「ちょっとせっかちかな?」と思うくらい、急いで計算することを意識するだけでも計算スピードが上がります。
計算が速くなれば、勉強の効率も上がり、点数もとれるので、一石二鳥ですよ。
楽に解くことを追求しない
「数学は答えが合っていればOK」という考え方の人は気を付けましょう。
もちろん、答えを合わすことはとても重要です。
しかし、普段の勉強の中で「もう少し簡単に解けないかな?」という視点をもつことが、数学の力を伸ばす秘訣です。
解法パターンが限られる問題もありますが、参考書などで別解が書かれている問題はチェックすることが大切です。
自分の解いた方法が良いのか、それとも他の解法が良いのかを比べ、より良い方を採用していくことで、数学の世界が広がります。
ただし、簡単に解ける公式を覚えろというわけではありませんので注意してください。
解決策
極端ですが、式の展開を例にしてみます。
自力で解いた解答が
\begin{eqnarray} (x+1)^2(x-1)^2 &=& (x^2+2x+1)(x^2-2x+1) \\ &=& x^4-2x^3+x^2+2x^3-4x^2+2x+x^2-2x+1 \\ &=& x^4-2x^2+1 \end{eqnarray}模範解答が
\begin{eqnarray} (x+1)^2(x-1)^2 &=& \{(x+1)(x-1)\}^2 \\ &=& (x^2-1)^2 \\ &=& x^4-2x^2+1 \end{eqnarray}だったときに、「答えが合っているからいいや」という考えをもたないようにしましょう。
より簡単に解ける解答から学び、それを自分のものにする習慣をつけることで、数学の力を伸ばすことができます。
分からないことを放置する
数学は、『よく分からないけど解ける』問題をどれだけ増やしても、成績が伸びない教科です。
『理解して解ける』問題が多ければ多いほど、他の問題に応用できる力が身についていると言えます。
「apple」を「りんご」と覚えるように、$|x|>1$ の解が $x<-1$,$1<x$ と覚えていると、絶対値の理解がいつまで経っても深まりません。
「分からない」ことに対して正直になり、放置しないことが、数学の力をつけるためには必要です。
解決策
・分からないことは、学校の先生や塾の先生、数学が得意な友達に聞く
・分からない問題について、Youtubeなどで公開されている解説動画を見る
大切なのは、「分からない」ことに正直になることです。
「分からない」と言うことには勇気がいりますが、高校生は「分からない」ことがあって当たり前です。
「分からない」ことがあるから学校に行き、学んでいるのです。
「こんなこと聞いて大丈夫かな」と思わずに、質問しやすい人に聞いてみると、優しく教えてくれるはずです。
「分からない」ことがあれば、すぐに行動に移す習慣があれば、数学の力はどんどん伸びます。
いろいろな参考書に手を出す
参考書は持っているだけで、勉強をした気分にさせてしまうものです。
しかし、持っている参考書の数は学力に比例しません。
分かりやすそうな参考書を万遍なくやっても、なかなか数学の力はつかないものです。
解決策
数学では、確実に解ける問題をどれだけ増やせるかが重要です。
参考書を完璧に仕上げるとは、その参考書にある問題はほとんど自力で解けるという状態です。
つまり、参考書の問題を一周だけ解くのでは不十分ということです。
当たり前ですが、一周だけ参考書の問題を解くだけでは、自力で解けるようになってはいません。
解けなかった問題を2周目、3周目と繰り返し解くことで、自力で解けるようになります。
新しい参考書に手を出したい気持ちも分かりますが、参考書を作った側の視点から考えると、参考書をきちんと仕上げることで数学の力がつくように作っているはずです。
参考書を作っている人の思いに応えるためにも、参考書を1冊完璧に仕上げることを大切にしましょう。
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