1の虚数の3乗根ω

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1の虚数の3乗根ωの性質を解説 複素数と方程式

高校数学Ⅱで学ぶ『$1$ の虚数の3乗根 ω』についてわかりやすく解説!

$1$ の虚数の3乗根を ω としたときの基本的な性質をまとめました!

この投稿を見れば、$1$ の虚数の3乗根 ω に関する問題はバッチリ!

3乗根とは

中学のときに、平方根(2乗根)を学びました。
例えば、「$4$ の平方根は $\pm2$」といったように、2乗して $4$ になる数のことを $4$ の平方根(2乗根)といいます。
$x^2=4$ という方程式の解を求めることで、$4$ の平方根は計算できます。
3乗根も同様に考えることができます。

3乗根とは
3乗すると $a$ になる数を $a$ の3乗根(立方根)という
$a$ の3乗根は、$x^3=a$ となる $x$ を計算することで求まる

1の3乗根

3乗すると $1$ になる数を、$1$ の3乗根といいます。
$1$ の3乗根は、$x^3=1$ の解を求めることで計算できます。

1の3乗根を求める
$1$ の3乗根は $x^3=1$ を満たす $x$ である
  $x^3=1$
  $x^3-1=0$
  $(x-1)(x^2+x+1)=0$
  $x-1=0$ または $x^2+x+1=0$
よって  $\displaystyle{x=1,\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}}$
$1$ の3乗根は $1$,$\displaystyle{\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}}$,$\displaystyle{\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}}$ の3つである

 

以上の計算でわかるように、$1$ の3乗根は $1$,$\displaystyle{\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}}$,$\displaystyle{\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}}$ の3つである。

$1$ の3乗根
$1$ の3乗根は $1$,$\displaystyle{\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}}$,$\displaystyle{\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}}$ の3つである

1の虚数の3乗根ω

$1$ の虚数の3乗根 $\displaystyle{\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}}$ の1つを $\omega$ (オメガ) とおくとき、次の3つの性質を知っておく必要がある。

性質1

$1$ の虚数の3乗根 $\omega$ の性質1
$1$ の虚数の3乗根 $\displaystyle{\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}}$ の1つを $\omega$ とすると
  $\omega^3=1$, $\omega^2+\omega+1=0$  が成り立つ

 

【証明】
$1$ の3乗根は $x^3=1$ … ① を満たす $x$ である
  $x^3=1$
  $x^3-1=0$
  $(x-1)(x^2+x+1)=0$
  $x-1=0$ または $x^2+x+1=0$ … ②
よって  $\displaystyle{x=1,\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}}$
$1$ の虚数の3乗根 $\displaystyle{\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}}$ の1つを $\omega$ とすると
$\omega$ は①の解であるため  $\omega^3=1$
また、$1$ の虚数の3乗根は②の解であるため  $\omega^2+\omega+1=0$

性質2

$1$ の虚数の3乗根 $\omega$ の性質2
$1$ の虚数の3乗根 $\displaystyle{\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}}$ の一方を $\omega$ とすると、他方は $\omega^2$ となる
よって、$1$ の3乗根は $1$,$\omega$,$\omega^2$ である

 

【証明】
$\displaystyle{\omega=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}}$ とすると

  $\displaystyle{\omega^2=\left(\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}\right)^2=\frac{1-2\sqrt{3}i-3}{4}=\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}}$

$\displaystyle{\omega=\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}}$ とすると

  $\displaystyle{\omega^2=\left(\frac{-1-\sqrt{3}i}{2}\right)^2=\frac{1+2\sqrt{3}i-3}{4}=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}}$

よって,$\displaystyle{\omega=\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}}$ のとき,$\displaystyle{\omega^2=\frac{-1\mp\sqrt{3}i}{2}}$ (複合同順)である
したがって、$1$ の3乗根は $1$,$\omega$,$\omega^2$ である

性質3

性質1で示した $\omega^3=1$ を用いると、

  $\omega^{100}=(\omega^3)^{33}\cdot\omega=\omega$
  $\omega^{101}=(\omega^3)^{33}\cdot\omega^2=\omega^2$
  $\omega^{102}=(\omega^3)^{34}=1$

のように、$\omega^n$ は $1$,$\omega$,$\omega^2$ で表すことができる。

$1$ の虚数の3乗根 $\omega$ の性質3
$1$ の虚数の3乗根 $\displaystyle{\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}}$ の1つを $\omega$ とすると、
  $n=3k$ のとき $\omega^n=1$
  $n=3k+1$ のとき $\omega^n=\omega$
  $n=3k+2$ のとき $\omega^n=\omega^2$
ただし,$k$ は自然数
これより、$\omega^n$ は $1$,$\omega$,$\omega^2$ のいずれかで表すことができる

 

【証明】
$k$ を自然数とする
$n=3k$ のとき  $\omega^n=\omega^{3k}=(\omega^3)^k=1$
$n=3k+1$ のとき  $\omega^n=\omega^{3k+1}=(\omega^3)^k\cdot\omega=\omega$
$n=3k+2$ のとき  $\omega^n=\omega^{3k+2}=(\omega^3)^k\cdot\omega^2=\omega^2$

問題

問題
$1$ の虚数の3乗根の1つを $\omega$ とするとき,次の値を求めよ。
(1) $\omega^{300}$
(2) $\omega^{16}+\omega^8+1$
(3) $\omega^{100}+\omega^{50}$

 

解答
$1$ の虚数の3乗根 $\displaystyle{\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2}}$ の1つを $\omega$ とすると
  $\omega^3=1$, $\omega^2+\omega+1=0$  が成り立つことを利用

(1) $\omega^{300}=(\omega^3)^{100}=1^{100}=1$

(2) $\omega^{16}+\omega^8+1=(\omega^3)^5\cdot\omega+(\omega^3)^2\cdot\omega^2+1=\omega+\omega^2+1=0$

(3) $\omega^{100}+\omega^{50}=(\omega^3)^{33}\cdot\omega+(\omega^3)^{16}\cdot\omega^2=\omega+\omega^2=-1$
  ($\omega^2+\omega+1=0$ を変形して $\omega^2+\omega=-1$)

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