2021年度共通テスト数学ⅡBの第4問「数列」の問題の解説!
解いたことがない人は解いてみよう!
第4問「数列」の問題
第4問
初項 $3$,公差 $p$ の等差数列を $\{a_n\}$ とし,初項 $3$,公比 $r$ の等比数列を $\{b_n\}$ とする。ただし,$p≠0$ かつ $r≠0$ とする。さらに,これらの数列が次を満たすとする。
$a_nb_{n+1}-2a_{n+1}b_n+3b_{n+1}=0$ ($n=1,2,3,\cdots$) $\cdots\cdots$ (A)
(1) $p$ と $r$ の値を求めよう。自然数 $n$ について,$a_n$,$a_{n+1}$,$b_n$ はそれぞれ
$a_n=\boxed{\mathbf{ ア }}+(n-1)p$ $\cdots\cdots$ (B)
$a_{n+1}=\boxed{\mathbf{ ア }}+np$ $\cdots\cdots$ (C)
$b_{n}=\boxed{\mathbf{ イ }}r^{n-1}$
と表される。$r≠0$ により,すべての自然数 $n$ について,$b_n≠0$ となる。$\displaystyle{\frac{b_{n+1}}{b_n}=r}$ であることから,(A) の両辺を $b_n$ で割ることにより
$\boxed{\mathbf{ ウ }}a_{n+1}=r(a_n+\boxed{\mathbf{ エ }})$ $\cdots\cdots$ (D)
が成り立つことがわかる。(D) に (B) と (C) を代入すると
$(r-\boxed{\mathbf{ オ }})pn=r(p-\boxed{\mathbf{ カ }})+\boxed{\mathbf{ キ }}$ $\cdots\cdots$ (E)
となる。(E) がすべての $n$ で成り立つことおよび $p≠0$ により,$r=\boxed{\mathbf{ オ }}$ を得る。さらに,このことから,$p=\boxed{\mathbf{ ク }}$ を得る。
以上から,すべての自然数 $n$ について,$a_n$ と $b_n$ が正であることもわかる。
(2) $p=\boxed{\mathbf{ ク }}$,$r=\boxed{\mathbf{ オ }}$ であることから,$\{a_n\}$,$\{b_n\}$ の初項から第 $n$ 項までの和は,それぞれ次の式で与えられる。
$\displaystyle{\sum_{k=1}^n a_k=\frac{\boxed{\mathbf{ ケ }}}{\boxed{\mathbf{ コ }}}n(n+\boxed{\mathbf{ サ }})}$
$\displaystyle{\sum_{k=1}^n b_k=\boxed{\mathbf{ シ }}(\boxed{\mathbf{ オ }}^n-\boxed{\mathbf{ ス }})}$
(3) 数列 $\{a_n\}$ に対して,初項 $3$ の数列 $\{c_n\}$ が次を満たすとする。
$a_nc_{n+1}-4a_{n+1}c_n+3c_{n+1}=0$ ($n=1,2,3,\cdots$) $\cdots\cdots$ (F)
$\{a_n\}$ が正であることから,(F) を変形して,$\displaystyle{c_{n+1}=\frac{\boxed{\mathbf{ セ }}a_{n+1}}{a_n+\boxed{\mathbf{ ソ }}}c_n}$ を得る。さらに,$p=\boxed{\mathbf{ ク }}$ であることから,数列 $\{c_n\}$ は $\boxed{\mathbf{ タ }}$ ことがわかる。
$\boxed{\mathbf{ タ }}$ の解答群
⓪ すべての項が同じ値をとる数列である
① 公差が $0$ でない等差数列である
② 公比が $1$ より大きい等比数列である
③ 公比が $1$ より小さい等比数列である
④ 等差数列でも等比数列でもない
(4) $q$,$u$ は定数で,$q≠0$ とする。数列 $\{b_n\}$ に対して,初項 $3$ の数列 $\{d_n\}$ が次を満たすとする。
$d_nb_{n+1}-qd_{n+1}b_n+ub_{n+1}=0$ ($n=1,2,3,\cdots$) $\cdots\cdots$ (G)
$r=\boxed{\mathbf{ オ }}$ であることから,(G) を変形して,$\displaystyle{d_{n+1}=\frac{\boxed{\mathbf{ チ }}}{q}(d_n+u)}$ を得る。したがって,数列 $\{d_n\}$ が,公比が $0$ より大きく $1$ より小さい等比数列となるための必要十分条件は,$q > \boxed{\mathbf{ ツ }}$ かつ $u=\boxed{\mathbf{ テ }}$ である。
第4問「数列」の分析と対策
この問題を分析するとこんな感じかな!
問題で扱われている分野と力
間違えた問題を分析すれば,自分がどこでつまずいているか分かるよ!
- 等差数列の一般項 $\boxed{\mathbf{ア}}$
- 等比数列の一般項 $\boxed{\mathbf{イ}}$
- 恒等式 $\boxed{\mathbf{ク}}$
- Σの計算 $\boxed{\mathbf{ケ}}~\boxed{\mathbf{ス}}$
- 等比数列の漸化式 $\boxed{\mathbf{タ}}$,$\boxed{\mathbf{ツ}},\boxed{\mathbf{テ}}$
- 複数の文字を整理する計算力 $\boxed{\mathbf{ウ}}~\boxed{\mathbf{キ}}$,$\boxed{\mathbf{セ}},\boxed{\mathbf{ソ}}$,$\boxed{\mathbf{チ}}$
問題の分析
数列の基本(等差・等比・Σの計算・漸化式)を理解している受験生
にとっては,問題文の途中に
「両辺を $\{b_n\}$ で割ることにより」
「○に□と◇を代入すると」
などのヒントが十分に書かれているので,
ヒントの通りに問題を解いたらいつの間にか解けた
という問題だった
一方で,
文字が多い問題が苦手な受験生
にとっては,文字の整理に苦戦する問題だった
対策
- 「数列の基本」でづまずいているのか
- 「複数の文字の計算処理」でつまずいているのか
ここをはっきりさせておこう
「数列の基本」でつまずいている場合は
数列の基本的な問題の演習を積もう
数列は公式が多いのでしっかり練習しておこう
- 等差数列の一般項と和
- 等比数列の一般項と和
- Σの計算
- 階差数列を用いた一般項
- 和から一般項
- 分数式の和
- 等差×等比数列の和
- 漸化式4パターン
「複数の文字の計算処理」でつまずいている場合は
誘導に乗って計算を進める力
を身につける必要がある
今回の問題で言えば
$a_nb_{n+1}-2a_{n+1}b_n+3b_{n+1}=0$ $\cdots\cdots$ (A)
『(A) の両辺を $b_n$ で割ることにより』と書かれてあるので,とりあえず割ってみる
$\displaystyle{\frac{a_nb_{n+1}}{b_n}-\frac{2a_{n+1}b_n}{b_n}+\frac{3b_{n+1}}{b_n}=0}$
『$\displaystyle{\frac{b_{n+1}}{b_n}=r}$ であることから』と書かれてあるので,$\displaystyle{\frac{b_{n+1}}{b_n}}$ を $r$ にしてみる
$ra_n-2a_{n+1}+3r=0$
誘導の通りに式変形を書いてみることが大切
第4問「数列」の解答
(1)
第4問
初項 $3$,公差 $p$ の等差数列を $\{a_n\}$ とし,初項 $3$,公比 $r$ の等比数列を $\{b_n\}$ とする。ただし,$p≠0$ かつ $r≠0$ とする。さらに,これらの数列が次を満たすとする。
$a_nb_{n+1}-2a_{n+1}b_n+3b_{n+1}=0$ ($n=1,2,3,\cdots$) $\cdots\cdots$ (A)
(1) $p$ と $r$ の値を求めよう。自然数 $n$ について,$a_n$,$a_{n+1}$,$b_n$ はそれぞれ
$a_n=\boxed{\mathbf{ ア }}+(n-1)p$ $\cdots\cdots$ (B)
$a_{n+1}=\boxed{\mathbf{ ア }}+np$ $\cdots\cdots$ (C)
$b_{n}=\boxed{\mathbf{ イ }}r^{n-1}$
と表される。$r≠0$ により,すべての自然数 $n$ について,$b_n≠0$ となる。$\displaystyle{\frac{b_{n+1}}{b_n}=r}$ であることから,(A) の両辺を $b_n$ で割ることにより
$\boxed{\mathbf{ ウ }}a_{n+1}=r(a_n+\boxed{\mathbf{ エ }})$ $\cdots\cdots$ (D)
が成り立つことがわかる。(D) に (B) と (C) を代入すると
$(r-\boxed{\mathbf{ オ }})pn=r(p-\boxed{\mathbf{ カ }})+\boxed{\mathbf{ キ }}$ $\cdots\cdots$ (E)
となる。(E) がすべての $n$ で成り立つことおよび $p≠0$ により,$r=\boxed{\mathbf{ オ }}$ を得る。さらに,このことから,$p=\boxed{\mathbf{ ク }}$ を得る。
以上から,すべての自然数 $n$ について,$a_n$ と $b_n$ が正であることもわかる。
$\{a_n\}$ は初項 $3$,公差 $p$ の等差数列より,(等差数列の一般項)
$a_n=\boxed{\mathbf{3}}+(n-1)p$ $\cdots\cdots$ (B)
初項 $a$,公差 $d$ の等差数列 $\{a_n\}$ の一般項は
$a_n=a+(n-1)d$
これより,
$a_n=\boxed{\mathbf{3}}+np$ $\cdots\cdots$ (C)
$\{b_n\}$ は初項 $3$,公比 $p$ の等比数列より,(等比数列の一般項)
$b_n= \boxed{\mathbf{3}} r^{n-1}$
と表される
初項 $a$,公比 $r$ の等比数列 $\{a_n\}$ の一般項は
$a_n=ar^{n-1}$
$r≠0$ より,すべての自然数 $n$ について $b_n≠0$ となるので
$\displaystyle{\frac{b_{n+1}}{b_n}=r}$ であることから,(A) の両辺を $b_n$ で割ることにより
$\displaystyle{\frac{a_nb_{n+1}}{b_n}-\frac{2a_{n+1}b_n}{b_n}+\frac{3b_{n+1}}{b_n}=0}$
$ra_n-2a_{n+1}+3r=0$
$\boxed{\mathbf{2}}a_{n+1}=r(a_n+\boxed{\mathbf{3}})$ $\cdots\cdots$ (D)
(D) に (B) と (C) を代入すると
$2(3+np)=r\{3+(n-1)p+3\}$
$6+2np=3r+rnp-rp+3r$
$(r-\boxed{\mathbf{2}})pn=r(p-\boxed{\mathbf{6}})+\boxed{\mathbf{6}}$ $\cdots\cdots$ (E)
(E) がすべての $n$ で成り立つことおよび $p≠0$ により,($n$ についての恒等式)
$r-2=0$ かつ $r(p-6)+6=0$
よって, $r=\boxed{\mathbf{2}}$,$p=\boxed{\mathbf{3}}$
(2)
(2) $p=\boxed{\mathbf{ ク }}$,$r=\boxed{\mathbf{ オ }}$ であることから,$\{a_n\}$,$\{b_n\}$ の初項から第 $n$ 項までの和は,それぞれ次の式で与えられる。
$\displaystyle{\sum_{k=1}^n a_k=\frac{\boxed{\mathbf{ ケ }}}{\boxed{\mathbf{ コ }}}n(n+\boxed{\mathbf{ サ }})}$
$\displaystyle{\sum_{k=1}^n b_k=\boxed{\mathbf{ シ }}(\boxed{\mathbf{ オ }}^n-\boxed{\mathbf{ ス }})}$
$p=\boxed{\mathbf{3}}$,$r=\boxed{\mathbf{2}}$ のとき
$a_n=3+3(n-1)=3n$
よって,
\begin{eqnarray} \sum_{k=1}^n a_k &=& \sum_{k=1}^n 3k \\\\ &=& 3\cdot\frac{1}{2}n(n+1) \\\\ &=& \frac{\boxed{\mathbf{3}}}{\boxed{\mathbf{2}}}n(n+\boxed{\mathbf{1}}) \end{eqnarray}
$\displaystyle{\sum_{k=1}^{n}k=\frac{1}{2}n(n+1)}$
また,
$b_n=3\cdot2^{n-1}$
よって,
\begin{eqnarray} \sum_{k=1}^n b_k &=& \sum_{k=1}^n 3\cdot2^{k-1} \\\\ &=& \frac{3(2^n-1)}{2-1} \\\\ &=& \boxed{\mathbf{3}}(\boxed{\mathbf{2}}^n-\boxed{\mathbf{1}}) \end{eqnarray}
$b_n=3\cdot2^{n-1}$ は等比数列なので,Σを計算するときに等比数列の和の公式を用いる
初項 $a$,公比 $r$ の等比数列の初項から第 $n$ 項までの和は $\displaystyle{\frac{a(r^n-1)}{r-1}}$
Σの計算はこれ↓
(3)
(3) 数列 $\{a_n\}$ に対して,初項 $3$ の数列 $\{c_n\}$ が次を満たすとする。
$a_nc_{n+1}-4a_{n+1}c_n+3c_{n+1}=0$ ($n=1,2,3,\cdots$) $\cdots\cdots$ (F)
$\{a_n\}$ が正であることから,(F) を変形して,$\displaystyle{c_{n+1}=\frac{\boxed{\mathbf{ セ }}a_{n+1}}{a_n+\boxed{\mathbf{ ソ }}}c_n}$ を得る。さらに,$p=\boxed{\mathbf{ ク }}$ であることから,数列 $\{c_n\}$ は $\boxed{\mathbf{ タ }}$ ことがわかる。
$\boxed{\mathbf{ タ }}$ の解答群
⓪ すべての項が同じ値をとる数列である
① 公差が $0$ でない等差数列である
② 公比が $1$ より大きい等比数列である
③ 公比が $1$ より小さい等比数列である
④ 等差数列でも等比数列でもない
$a_nc_{n+1}-4a_{n+1}c_n+3c_{n+1}=0$ ($n=1,2,3,\cdots$) $\cdots\cdots$ (F)
(F) を変形して,
$\displaystyle{(a_n+3)c_{n+1}=4a_{n+1}c_n}$
$a_n > 0$ より,$a_n+3 > 0$ であるから,
$\displaystyle{c_{n+1}=\frac{\boxed{\mathbf{4}}a_{n+1}}{a_n+\boxed{\mathbf{3}}}c_n}$
$p=\boxed{\mathbf{3}}$ のとき,$a_n=3n$,$a_{n+1}=3(n+1)$ より
$\displaystyle{c_{n+1}=\frac{4\cdot3(n+1)}{3n+3}c_n=4c_n}$
これより,$\{c_n\}$ は 公比 $4$ の等比数列である(等比数列の漸化式)
よって,数列 $\{c_n\}$ は公比が $1$ より大きい等比数列である $\boxed{\mathbf{②}}$
(4)
(4) $q$,$u$ は定数で,$q≠0$ とする。数列 $\{b_n\}$ に対して,初項 $3$ の数列 $\{d_n\}$ が次を満たすとする。
$d_nb_{n+1}-qd_{n+1}b_n+ub_{n+1}=0$ ($n=1,2,3,\cdots$) $\cdots\cdots$ (G)
$r=\boxed{\mathbf{ オ }}$ であることから,(G) を変形して,$\displaystyle{d_{n+1}=\frac{\boxed{\mathbf{ チ }}}{q}(d_n+u)}$ を得る。したがって,数列 $\{d_n\}$ が,公比が $0$ より大きく $1$ より小さい等比数列となるための必要十分条件は,$q > \boxed{\mathbf{ ツ }}$ かつ $u=\boxed{\mathbf{ テ }}$ である。
$d_nb_{n+1}-qd_{n+1}b_n+ub_{n+1}=0$ ($n=1,2,3,\cdots$) $\cdots\cdots$ (G)
すべての自然数 $n$ に対して,$b_n≠0$ であるから,(G) の両辺を $b_n$ でわって
$\displaystyle{\frac{d_nb_{n+1}}{b_n}-qd_{n+1}+\frac{ub_{n+1}}{b_n}=0}$
$\displaystyle{\frac{b_{n+1}}{b_n}=r=2}$ より,
$2d_n-qd_{n+1}+2u=0$
よって,
$\displaystyle{d_{n+1}=\frac{2}{q}(d_n+u)}$
を得る
数列 $\{d_n\}$ が,公比が $0$ より大きく $1$ より小さい等比数列となるための必要十分条件は,(等比数列の漸化式)
$u=0$ かつ $\displaystyle{0 < \frac{2}{q} < 1}$
すなわち,
$q > \boxed{\mathbf{2}}$ かつ $u=\boxed{\mathbf{0}}$
2021年度共通テストの大問
2021年度共通テスト数学ⅠA
- 第1問【1】数と式
- 第1問【2】図形と計量
- 第2問【1】2次関数
- 第2問【2】データの分析
- 第3問 場合の数と確率
- 第4問 整数の性質
- 第5問 図形の性質
2021年度共通テスト数学ⅡB
- 第1問【1】三角関数
- 第1問【2】指数関数・対数関数
- 第2問 微分法・積分法
- 第3問 確率分布と統計的な推測
- 第4問 数列
- 第5問 ベクトル
他の大問についても分析と解説をしているよ!
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