桁数を調べることができる「常用対数」を学ぼう!
対数の基本
$\log_a M$ の $a$ を 底 ,$M$ を 真数 という
常用対数
常用対数とは
$\log_{10} N$ のことを常用対数というよ!
常用対数の応用
$2^{20}$ は何桁の数か分かる?
さすがに,$2$ を $20$ 回もかける計算は時間がかかるね…
簡単に計算する方法はあるのかな?
「常用対数」を用いると,簡単に求めることができるよ!
常用対数で桁数を調べる
自然数 $N$ が $3$ 桁の数のとき,$N$ の常用対数の値
自然数 $N$ が $3$ 桁の数のとき
$100≦N<1000$
($100$ 以上 $1000$ 未満が $3$ 桁の自然数)
すなわち
$10^2≦N<10^3$
常用対数をとると
$\log_{10} 10^2≦\log_{10} N<\log_{10} 10^3$
したがって
$2≦\log_{10} N<3$
自然数 $N$ が $3$ 桁の数のとき,$N$ の常用対数の値は
$2≦\log_{10} N<3$
となる
同様に,
自然数 $N$ が $4$ 桁の数のとき,$N$ の常用対数の値は
$3≦\log_{10} N<4$
自然数 $N$ が $5$ 桁の数のとき,$N$ の常用対数の値は
$4≦\log_{10} N<5$
となる
これを一般化してみよう!
自然数 $N$ が $k$ 桁の数のとき,$N$ の常用対数の値
自然数 $N$ が $k$ 桁の数のとき
$10^{k-1}≦N<10^k$
常用対数をとると
$\log_{10} 10^{k-1}≦\log_{10} N<\log_{10} 10^k$
したがって
$k-1≦\log_{10} N<k$
自然数 $N$ が $k$ 桁の数のとき,$N$ の常用対数の値
桁数を調べたいときは,常用対数の値を調べればいいよ!
問題
$2^{20}$ は何桁の数か。ただし,$\log_{10} 2=0.3010$ とする。
$2^{20}$ について常用対数をとると
$\log_{10} 2^{20}=20\log_{10} 2=20\times0.3010=6.020$
$6<\log_{10} 2^{20}<7$ であるから
$2^{20}$ は $7$ 桁の数である
常用対数で小数を調べる
「常用対数」を用いると,ある小数が小数第何位に初めて $0$ でない数が現れるか(小数点以下に $0$ が何個つくか)も調べることができるよ!
$0 < M<1$ である小数 $M$ の小数第 $3$ 位に初めて $0$ でない数字が現れるとき,$M$ の常用対数の値
小数第 $3$ 位に初めて $0$ でない数字が現れるとき
$0.001≦M<0.01$
すなわち
$10^{-3}≦M<10^{-2}$
常用対数をとると
$\log_{10} 10^{-3}≦\log_{10} M<\log_{10} 10^{-2}$
したがって
$-3≦\log_{10} M<-2$
となる
同様に,
小数第 $4$ 位に初めて $0$ でない数字が現れるとき
$-4≦\log_{10} M<-3$
小数第 $5$ 位に初めて $0$ でない数字が現れるとき
$-5≦\log_{10} M<-4$
これを一般化してみよう!
$0 < M<1$ である小数 $M$ の小数第 $k$ 位に初めて $0$ でない数字が現れるとき,$M$ の常用対数の値
小数第 $k$ 位に初めて $0$ でない数字が現れるとき
$10^{-k}≦M<10^{-(k-1)}$
常用対数をとると
$\log_{10} 10^{-k}≦\log_{10} M<\log_{10} 10^{-(k-1)}$
したがって
$-k≦\log_{10} M<-(k-1)$
$0 < M<1$ である小数 $M$ が小数第 $k$ 位に初めて $0$ でない数字が現れるとき,$M$ の常用対数の値は
問題
$\displaystyle{\left(\frac{1}{3}\right)^{10}}$ を小数で表したとき,小数第何位に初めて $0$ でない数字が現れるか。ただし,$\log_{10} 3=0.4771$ とする。
$\displaystyle{\left(\frac{1}{3}\right)^{10}}$ について常用対数をとると
$\displaystyle{\log_{10} \left(\frac{1}{3}\right)^{10}=10\log_{10} \frac{1}{3}=10(\log_{10} 1-\log_{10} 3)=-10\log_{10} 3=-4.771}$
$\displaystyle{-5<\log_{10} \left(\frac{1}{3}\right)^{10}<-4}$ であるから
$\displaystyle{\left(\frac{1}{3}\right)^{10}}$ を小数で表したとき,小数第 $5$ 位に初めて $0$ でない数字が現れる
小数についても,「常用対数」は使えるね!
まとめ
● 常用対数とは
底が $10$ の対数
● 常用対数で桁数を調べる
自然数 $N$ が $k$ 桁の数のとき,$N$ の常用対数の値は
$k-1≦\log_{10} N <k$
● 常用対数で小数を調べる
$0<M<1$ である小数 $M$ が小数第 $k$ 位に初めて $0$ でない数字が現れるとき,$M$ の常用対数の値は
$-k≦\log_{10} M<-(k-1)$
「常用対数」は使う場面が限られるが,使えるようにしておこう!
コメント