三角比の拡張

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数学Ⅰ

鈍角の三角比の考え方きちんと理解していますか?

鋭角の三角比は直角三角形で考えていましたが,鈍角の三角比は座標で考えるので少し難しく感じます!

ですが,基本をきちんとおさえることで必ず理解できます!

単位円を使った鈍角の三角比の考え方をわかりやすく解説します!

 

$ 0^\circ≦\theta≦180^\circ$ の三角比を考えてみよう!

鋭角の三角比の定義

鋭角($ 0^\circ<\theta<90^\circ$) の三角比は直角三角形で定義されていたね!

直角三角形の鋭角($90^\circ$ 未満の角)の1つを $\theta$ とし,斜辺の長さを $r$ ,その他の辺の長さを下図のように $x$,$y$ とするとき,三角比の定義は以下のようになる。
※ $x$ のことを $\theta$ の隣の辺なので「隣辺」,$y$ のことを $\theta$ の向かいの辺なので「対辺」とよぶこともある。

三角比の定義

$\displaystyle{\sin\theta=\frac{y}{r}}$, $\displaystyle{\cos\theta=\frac{x}{r}}$, $\displaystyle{\tan\theta=\frac{y}{x}}$

● $\sin\theta$ の覚え方

sin(正弦)の覚え方

$s$ の筆記体で $\displaystyle{\sin\theta=\frac{y}{r}}$

● $\cos\theta$ の覚え方

cos(余弦)の覚え方

$c$ と書いて $\displaystyle{\cos\theta=\frac{x}{r}}$

● $\tan\theta$ の覚え方

tan(正接)の覚え方

$t$ の筆記体で $\displaystyle{\tan\theta=\frac{y}{x}}$

 

詳しく復習したい人はこれ↓

三角比の基本
数学Ⅰの三角比が最初からよくわからない人必見! 30°,45°,60°における三角比を丁寧に解説しました! 三角比の最初は直角三角形の辺の比を考えることが重要! ここがわからなければ,三角比はわからないままです! この投稿を見れば,三角比の基本はばっちり!

座標を用いた三角比の定義

直角三角形だと 90° までしか三角比が定義できないね!

90° より大きい角の三角比はどうやって定義するのかな?

90° より大きい角の三角比は,座標を用いて定義するよ!

座標平面上において原点を中心とする半径 $r$ の半円をかき,この半円と $x$ 軸の正の部分との交点を $A$ とする。

$∠AOP=\theta$ となる点 $P$ をこの半円上にとり,点 $P$ の座標を $(x,y)$ としたとき,

三角比の定義
$$\sin\theta=\frac{y}{r},\cos\theta=\frac{x}{r},\tan\theta=\frac{y}{x}$$

結局,鋭角($ 0^\circ<\theta<90^\circ$) の三角比と定義の式は同じだね!

大まかにみると同じだけど,

$x$ と $y$ が長さではなく座標になったことは注意しよう!

単位円による三角比の定義

$r=1$ の円(単位円)を考えると,$\sin\theta$ と $\cos\theta$ の定義がシンプルになるよ!

$$\sin\theta=\frac{y}{r},\cos\theta=\frac{x}{r}$$

$$      \Downarrow   r=1とする$$

$$\sin\theta=y,\cos\theta=x$$

$\sin\theta$ は単位円上の点の $y$ 座標,$\cos\theta$ は単位円上の点の $x$ 座標

用いる直角三角形

30$^\circ$,45$^\circ$,60$^\circ$ の直角三角形の斜辺の長さを $1$ にすると

$\sin\theta$,$\cos\theta$ の値

ポイント

$\sin\theta$ は $y$ 座標

$\cos\theta$ は $x$ 座標

● $\sin0^\circ=0$,$\cos0^\circ=1$

● $\displaystyle{\sin30^\circ=\frac{1}{2}}$,$ \displaystyle{ \cos30^\circ=\frac{\sqrt{3}}{2}}$

● $ \displaystyle{ \sin45^\circ=\frac{\sqrt{2}}{2}}$,$ \displaystyle{ \cos45^\circ=\frac{\sqrt{2}}{2}}$

 実際,$ \displaystyle{ \frac{1}{\sqrt{2}}}$ と書くことが多いですが,
 大小関係を分かりやすくするために $ \displaystyle{ \frac{\sqrt{2}}{2}}$ と書いています

● $ \displaystyle{ \sin60^\circ=\frac{\sqrt{3}}{2}}$,$ \displaystyle{ \cos60^\circ=\frac{1}{2}}$

● $\sin90^\circ=1$,$\cos90^\circ=0$

● $ \displaystyle{ \sin120^\circ=\frac{\sqrt{3}}{2}}$,$ \displaystyle{ \cos120^\circ=-\frac{1}{2}}$

● $ \displaystyle{ \sin135^\circ=\frac{\sqrt{2}}{2}}$,$ \displaystyle{ \cos135^\circ=-\frac{\sqrt{2}}{2}}$

● $ \displaystyle{ \sin150^\circ=\frac{1}{2}}$,$ \displaystyle{ \cos150^\circ=-\frac{\sqrt{3}}{2}}$

● $\sin180^\circ=0$,$\cos180^\circ=-1$

$\theta$$ 0^\circ$$ 30^\circ$$ 45^\circ$$ 60^\circ$$ 90^\circ$$ 120^\circ$$ 135^\circ$$ 150^\circ$$ 180^\circ$
$\sin\theta$$0$$\frac{1}{2}$$\frac{\sqrt{2}}{2}$$\frac{\sqrt{3}}{2}$$1$$\frac{\sqrt{3}}{2}$$\frac{\sqrt{2}}{2}$$\frac{1}{2}$$0$
$\cos\theta$$1$$\frac{\sqrt{3}}{2}$$\frac{\sqrt{2}}{2}$$\frac{1}{2}$$0$$-\frac{1}{2}$$-\frac{\sqrt{2}}{2}$$-\frac{\sqrt{3}}{2}$$-1$

$\sin\theta$ は $y$ 座標なので,$\theta$ が大きくなるにつれて,
$ 90^\circ$ までは大きくなり,$ 90^\circ$ 以降は小さくなる

$\cos\theta$ は $x$ 座標なので,$\theta$ が大きくなるにつれて,小さくなる

$\tan\theta$ の値

$\tan\theta$ は $ \displaystyle{ \frac{y}{x}}$ なので,$\tan\theta$ は直角三角形の斜辺の傾きを表している

ポイント

$\tan\theta$ は傾き

● $ \displaystyle{ \tan30^\circ=\frac{1}{\sqrt{3}}}$,$\tan45^\circ=1$,$ \tan60^\circ=\sqrt{3}$

● $\tan120^\circ=-\sqrt{3}$,$\tan135^\circ=-1$,$ \displaystyle{ \tan150^\circ=-\frac{1}{\sqrt{3}}}$

● $\tan0^\circ=0$,$\tan180^\circ=0$

$ 0^\circ$,$ 180^\circ$ のときの傾きは $0$
(全く傾いていない)

● $\tan90^\circ$ はなし

$ 90^\circ$ のときの傾きは「定義できない」
(傾きすぎ)

$\theta$$ 0^\circ$$ 30^\circ$$ 45^\circ$$ 60^\circ$$ 90^\circ$$ 120^\circ$$135^\circ$$ 150^\circ$$ 180^\circ$
$\tan\theta$$0$$\frac{1}{\sqrt{3}}$$1$$\sqrt{3}$×$-\sqrt{3}$$-1$$-\frac{1}{\sqrt{3}}$$0$

三角比の符号

鋭角と鈍角における三角比の符号をきちんとおさえておこう!

  $\theta$    鋭角    鈍角  
$\sin\theta$$+$$+$
$\cos\theta$$+$$-$
$\tan\theta$$+$$-$

鋭角は $ 0^\circ<\theta<90^\circ$,鈍角は $ 90^\circ<\theta<180^\circ$

三角比の符号
  •  $\sin\theta$ は $y$ 座標なので,鋭角でも鈍角でも正($+$)
  •  $\cos\theta$ は $x$ 座標なので,鋭角では正($+$)鈍角では負($-$)
  •  $\tan\theta$ は傾きなので,鋭角では正($+$)鈍角では負($-$)
  •  

    鈍角における $\cos\theta$ と $\tan\theta$ が負になることがポイント!

    まとめ

    ● 三角比の定義

     $ \displaystyle{ \sin\theta=\frac{y}{r},\cos\theta=\frac{x}{r},\tan\theta=\frac{y}{x}}$

    ● $\sin\theta$ は $y$ 座標,$\cos\theta$ は $x$ 座標
     ($r=1$ とすると)

    ● $\tan\theta$ は傾き

    ● 三角比の値

    $\theta$$ 0^\circ$$ 30^\circ$$ 45^\circ$$ 60^\circ$$ 90^\circ$$ 120^\circ$$ 135^\circ$$ 150^\circ$$ 180^\circ$
    $\sin\theta$$0$$\frac{1}{2}$$\frac{\sqrt{2}}{2}$$\frac{\sqrt{3}}{2}$$1$$\frac{\sqrt{3}}{2}$$\frac{\sqrt{2}}{2}$$\frac{1}{2}$$0$
    $\cos\theta$$1$$\frac{\sqrt{3}}{2}$$\frac{\sqrt{2}}{2}$$\frac{1}{2}$$0$$-\frac{1}{2}$$-\frac{\sqrt{2}}{2}$$-\frac{\sqrt{3}}{2}$$-1$
    $\tan\theta$$0$$\frac{1}{\sqrt{3}}$$1$$\sqrt{3}$×$-\sqrt{3}$$-1$$-\frac{1}{\sqrt{3}}$$0$

    ● 三角比の符号

      $\theta$    鋭角    鈍角  
    $\sin\theta$$+$$+$
    $\cos\theta$$+$$-$
    $\tan\theta$$+$$-$
    鋭角は $ 0^\circ<\theta<90^\circ$,鈍角は $ 90^\circ<\theta<180^\circ$

     鈍角における $\cos\theta$ と $\tan\theta$ が負になる

     

    きちんと理解しておけば,数Ⅱの三角関数にも使えるよ!

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