対数の基本
まずは対数の基本を復習しよう!
$\log_a M$ の $a$ を 底 ,$M$ を 真数 という
$a^p=M \iff \log_a M=p$
$a^p > 0$ より $M > 0$
すなわち 真数は正である
真数が正であることを 真数条件 という
$p$ を $a$ を底とする対数にかきかえると,
$\log_a a^p$ となるね!
対数関数を含む不等式
対数関数を含む不等式を解くときのポイントはこれ!
指数関数を含む不等式と同様に,底が1より大きいか小さいかで解き方が変わるので要注意!
底が 1 より大きいとき
$\log_2 x$ について,$x$ が大きくなるとどのように変化するかな?
$\log_a a^p=p$ を用いて考えてみよう!
$x$ | $\cdots$ | $\displaystyle{\frac{1}{4}}$ | $\displaystyle{\frac{1}{2}}$ | $1$ | $2$ | $4$ | $8$ | $16$ | $\cdots$ |
$\log_2 x$ | $\cdots$ | $-2$ | $-1$ | $0$ | $1$ | $2$ | $3$ | $4$ | $\cdots$ |
$\displaystyle{\cdots<\log_2 \frac{1}{4}< \log_2 \frac{1}{2}< \log_2 1< \log_2 2< \log_2 4< \log_2 8< \log_2 16<\cdots}$
$x$ が大きくなるにつれて,$\log_2 x$ も大きくなる
これより
$p < q \iff \log_2 p < \log_2 q$
($\iff$ は同値の記号)
$\log_3 x$ や $\log_4 x$ といった,底が $1$ より大きいときに同様のことがいえる
問題
次の不等式を解け。
(1) $\log_2 x≦3$ (2) $\log_3 (2-x) < -1$
(1) $\log_2 x≦3$
真数条件より $x>0$ $\cdots\cdots$ ①
$\log_2 x≦3$
$\log_2 x≦\log_2 2^3$
底 $2$ は $1$ より大きいので
$x≦8$
①との共通範囲をとって
$0<x≦8$
(2) $\log_3 (2-x) < -1$
真数条件より $2-x>0$
すなわち $x<2$ $\cdots\cdots$ ①
$\log_3 (2-x) < -1$
$\log_3 (2-x) < \log_3 3^{-1}$
$2-x<3^{-1}$
$\displaystyle{2-x<\frac{1}{3}}$
$\displaystyle{x>\frac{5}{3}}$
①との共通範囲をとって
$\displaystyle{\frac{5}{3}<x<2}$
底が $1$ より大きかったら,不等号の向きは変わらない!
底が 1 より小さいとき
$\displaystyle{\log_\frac{1}{2} x}$ について,$x$ が大きくなるとどのように変化するかな?
$x$ | $\cdots$ | $\displaystyle{\frac{1}{16}}$ | $\displaystyle{\frac{1}{8}}$ | $\displaystyle{\frac{1}{4}}$ | $\displaystyle{\frac{1}{2}}$ | $1$ | $2$ | $4$ | $\cdots$ |
$\displaystyle{\log_\frac{1}{2} x}$ | $\cdots$ | $4$ | $3$ | $2$ | $1$ | $0$ | $-1$ | $-2$ | $\cdots$ |
$\displaystyle{\cdots>\log_\frac{1}{2} \frac{1}{16}> \log_\frac{1}{2} \frac{1}{8}> \log_\frac{1}{2} \frac{1}{4}> \log_\frac{1}{2} \frac{1}{2}> \log_\frac{1}{2} 1>\log_\frac{1}{2} 2> \log_\frac{1}{2} 4>\cdots}$
$x$ が大きくなるにつれて, $\displaystyle{\log_\frac{1}{2} x}$ も小さくなる
これより
$\displaystyle{p < q \iff \log_\frac{1}{2} p > \log_\frac{1}{2} q}$
($\iff$ は同値の記号)
$\displaystyle{\log_\frac{1}{3} x}$ や $\displaystyle{\log\frac{1}{4} x}$ といった,底が $1$ より小さいときに同様のことがいえる
問題
次の不等式を解け。
(1) $\displaystyle{\log_\frac{1}{2} x < -1}$ (2) $\displaystyle{\log_\frac{1}{3} (2-x) ≧ 1}$
(1) $\displaystyle{\log_\frac{1}{2} x < -1}$
真数条件より $x>0$ $\cdots\cdots$ ①
$\displaystyle{\log_\frac{1}{2} x < -1}$
$\displaystyle{\log_\frac{1}{2} x < \log_\frac{1}{2} \left(\frac{1}{2}\right)^{-1}}$
底 $\displaystyle{\frac{1}{2}}$ は $1$ より小さいので
$\displaystyle{x > \left(\frac{1}{2}\right)^{-1}}$
$x > 2$
①との共通範囲をとって
$x > 2$
(2) $\displaystyle{\log_\frac{1}{3} (2-x) ≧ 1}$
真数条件より $2-x>0$
すなわち $x<2$ $\cdots\cdots$ ①
$\displaystyle{\log_\frac{1}{3} (2-x) ≧ 1}$
$\displaystyle{\log_\frac{1}{3} (2-x) ≧ \log_\frac{1}{3} \left(\frac{1}{3}\right)^1}$
底 $\displaystyle{\frac{1}{3}}$ は $1$ より小さいので
$\displaystyle{2-x≦ \left(\frac{1}{3}\right)^1 }$
$\displaystyle{x≧ \frac{5}{3} }$
①との共通範囲をとって
$\displaystyle{\frac{5}{3}≦x<2}$
底が $1$ より小さかったら,不等号の向きは変わる!
まとめ
● 対数関数を含む不等式のポイント
真数条件(真数は正)を考える
対数の底をそろえて,真数を比較
● 真数を比較するときのポイント
底が $1$ より大きいときは,不等号の向きが変わらない
底が $1$ より小さいときは,不等号の向きが変わる
真数条件は忘れやすいので要注意!
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